就寝前のタンパク質摂取は筋肉量及び筋力が増加する

 

筋トレを行うトレーニーの間では、よく「寝る前にプロテインを飲んだ方が良い。」という話を聞きます。
果たしてこれは、本当に効果があるのでしょうか?

今回は、就寝前のタンパク質摂取が筋肉合成に与える影響について、いくつかの論文をご紹介します。

まずは、米国栄養学会の学術誌である Journal of Nutrition に掲載された論文をご覧ください。

Protein Ingestion before Sleep Increases Overnight Muscle Protein Synthesis Rates in Healthy Older Men: A Randomized Controlled Trial
(健康な高齢男性における睡眠前のタンパク質摂取による夜間の筋肉タンパク質合成速度の増加)

この研究は、就寝前に、40gカゼインプロテイン、20gカゼインプロテイン、20gカゼインプロテイン+ 1.5gロイシンを摂取した48人の高齢男性(平均年齢:72±1歳)において、筋肉合成の有効性を調査しました。

結果は、それぞれすべてのグループが夜間の筋肉合成は増加しましたが、40gカゼインのグループの増加割合が最も高かったそうです。

論文は、

睡眠前に摂取したタンパク質は、夜間に適切に消化吸収され、健康な高齢者の睡眠中の筋原繊維タンパク質合成の前駆物質となる。
睡眠前の40gのタンパク質の摂取は、夜間の睡眠中の筋原繊維タンパク質合成速度を増加させる。
これらの知見は、老化および疾患における筋肉量の維持を支援する新規栄養戦略の科学的基礎を提供する。

と、結論付けています。

そもそも、この研究はサルコペニア(加齢による筋肉の喪失)対策の一環として調査されたもので、被験者は特に筋トレを行うトレーニーではなく、一般の高齢者です。
にもかかわらず、40gのカゼインプロテインの摂取は、最も筋肉合成の割合が高かったという結果になっています。

では、筋トレを行う場合は、どうかと言いますと、同じく Journal of Nutrition に論文があります。

Protein Ingestion before Sleep Increases Muscle Mass and Strength Gains during Prolonged Resistance-Type Exercise Training in Healthy Young Men
(睡眠前のタンパク質摂取は、健康な若年男性におけるレジスタンストレーニングの長期間の筋質量および筋力を増加させる)

この研究では、44人の若年男性(22±1歳)を12週間の筋トレプログラムに無作為に割り付け、1グループは睡眠前に毎晩タンパク質27.5g、炭水化物15g、脂肪0.1gを含むプロテインサプリメントを摂取し、他グループは、非カロリープラセボを投与されました。
(タンパク質源はカゼインプロテイン)

結果は、就寝前にプロテインサプリメントを摂取したグループの方が、筋肉量、筋力ともに有意に増加しました。
特に、TypeⅡ筋繊維(速筋)の増大が大きく見られました。
論文では、

睡眠前のタンパク質摂取は、若年男性のレジスタンス運動中の筋肉量および筋力増加を増大させる効果的な食事戦略である。

と、結論しています。

という具合に、筋トレをする、しないに関わらず、就寝前のタンパク質摂取は、筋肉の増大に効果があるようです。

両研究では、タンパク質源にカゼインプロテインを使用しています。
これは、ホエイプロテインよりも吸収が遅いカゼインを使って、就寝時間中にゆっくりと吸収させる狙いがあったのではないかと推測されます。

また、後者の研究では、プロテインと炭水化物を摂取していますが、先行研究において、タンパク質を単独で摂取するよりもタンパク質と炭水化物を同時に摂取することにより、より筋肉合成は加速されるとされています。

 

そんな訳で、カゼインと大豆プロテインを紹介しておきます。
大豆プロテインは、カゼインに比べると値段も安くお勧めです。
 

 

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